火の要慎の神、愛宕神社詣での愛宕街道の古道、
ここ一の鳥居の畔で四百年 鮎問屋を営むかたわら、
平野屋は茶店をして名物志んこ団子を旅人に供してまいりました。
平野屋の遠祖は愛宕神社と親交が深く、そのご縁で一の鳥居のふもとに茶店を構えることになったと聞いております。
愛宕神社は火伏の神。「お伊勢七たび、熊野へ三たび、愛宕さんへは月詣り」―、江戸時代、庶民の間でそううたわれるほど、広く信仰を集めていました。一の鳥居から、愛宕神社まで五十丁。当店は、行き帰りの参詣者のみなさまを古くからもてなしてまいりました。
また保津峡谷に近い立地から、鮎問屋を営んでおりました。
保津川水系の清流で獲れた新鮮な鮎を、一晩休ませ朝一番で「鮎もちさん」と呼ばれる担ぎ手が両天秤で京の料亭に卸しておりました。やがてお客様に鮎料理をお出しするようになり、今日に至っております。
現在の女将は14代目。先代女将と共にお客様をおもてなししてまいりました。今も昔からの赤前垂れで15代目若女将とともにお客様をお迎えしております。
今も昔と変わらず、毎朝おくどさんに火を入れることから一日が始まります。なにとぞ益々のお引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。